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けんこう定期便

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No.11-2 食は夢の架け橋

料理研究家 星澤幸子先生 (プロフィールはこちら)

“料理番組の長期出演”というギネス記録を持つ星澤先生。20年もの間、生出演されて、食の大切さ=食べることの大切さをメディアから発信され続けていらっしゃいます。「食は夢の架け橋」と題しての講話は、オススメの食材を交えてのにぎやかなお話になりました。

健康は一日にしてならず

「健」という字は「人を建てる」と書きます。命を落とすのは簡単ですが、健康を維持するのは…そう簡単にはいきません。いろんなことが相まって初めて健康でいられるのです。そして、健康でなければ、夢を叶えることもできません。夢って、「自分が自分らしく生きる」ことだと思うんですね。それができたときに人は、喜びの中で人生を全うできるのではないでしょうか。
この健康については、食べ物に照らした観点がほとんどありません。それでも私は、食べることがとても大切だと思っています。だから「どのように食べたら健康に良いか」「どうやったら栄養を損なわないで、美味しく食べることができるか」という思いで、料理を作らせていただいております。
食において、人生には二つの選択肢がある。そのどちらを選ぶかを、皆さんに決めていただきたい…と先生は迫ります。質素なものを、にこやかに感謝しながら食べて、枯れるように一生を終えたいか。それともバクバクと何でもいいから食べるんだと言って、体を腐るような状態にしていくか…と。
「いい人生を送りたい」「豊かな老後を迎えたい」と思ったら、今から食べることに気をつけていかなければ手遅れになります。じゃあ、腐らせず、きれいに枯れていくには、どうすれば良いのか?まずひとつは、日本型の食生活に変えていただくことです。私たちにとっての理想的な食生活は、やっぱり日本食なのです。

一汁一菜がいい

昔から私たちは、日本食を食べてきました。日本人ですから、「今さら何を」と思われるかもしれませんね。四、五十年前までは、ご飯に具だくさんのみそ汁、小魚か煮物、そして、漬物があった。いわゆる「一汁一菜」、そんな世界でした。ところが、それから急激に洋食化、欧米化してしまったわけです。肉は9倍、乳製品は何と20倍、反対にお米は半分以下になってしまって…今では男の子だか女の子だかわからないというぐらい、見た目の体型も変わってしまいました。
食べ物が足りない環境でも十分体を養えた人種が、急にカロリーばかり摂るものだから、“おでぶちゃん”に…そして、大変な病気になってしまうことが多いわけです。もし、今太られている方がいらっしゃいましたら(笑)、それはたぶん、お体が、今のカロリー摂取に不満を訴えているんじゃないかと思うんですね。そう思って、ご自身の体の声に、耳を傾けてあげてください。

女性の平均寿命は、26年間世界一…ただ、悲しいことに、ガンになる率も、これまた日本人がトップであると星澤先生。「普段どういうものを食べているかで、この体が決まってしまう」のですから、どうやら食生活習慣を見直す必要があるようです。
皆さん、たくさんの動物性たんぱく質を摂らないと「栄養が足りないんじゃないか?」というトラウマがありませんか?これは、違います。ちゃんと元気な食材を、昔の人が食べたようにきちっと食べていれば、栄養不足なんてありません。一汁一菜のような食事で十分です。
「癌」という字を見てください。品物を山のように食べた結果なんですね。話はとっても簡単です。行政は「30品目、食べなさい」と言いますが、私たち日本人が、昔から30品目食べていた人種かということですよ。“食べ過ぎ”は…よろしくない。でも、旬のものはいただきましょうよ、日本人ですから。鮭の時期には鮭を食べて、さんまの時期にはさんまを食べていいんです。ちゃんと大根おろしを付けたり、野菜を一緒に食べたりすれば大丈夫。一緒に具だくさんのみそ汁をいただけば…「なお良し!」ですね。
食べるもので大事なのは、新鮮であること、そして腐らないものだとか。種とか豆というのは、腐らずに、何百年経ってもまた芽が出てくるほど強いもの…こうして“生きた”食べ物を摂ることが、きれいに枯れていくもうひとつの方法だと、先生は言います。
私たちは、他の命を“食べ物”としていただいています。その“いただく命”が、いかに力の強いものであるか…これが、私たちの命を決定づけているのです。“いただく命”に元気がなければ、自分の命も大したことない命になる。反対にこれが元気であれば、そのまま元気になる…そういうことです。だから、きれいに枯れていくためにも、食べ物に気を配ることが大切です。
ガンの発生率の話をしましたけど、食品添加物も残念ながら日本は世界一です。そういうものを入れれば…食べ物はすぐに腐ってしまいます。有機肥料で育てた、なるべく余計なものを入れない自然栽培的な野菜というのは、置いておくと枯れていきます。だから、皆さん、おわかりですよね?自分の口に何を入れるかで、人生が決まるわけですよ。自然なものを入れれば枯れていく。不自然なものを入れれば腐ってしまうんです。

生きたお米をいただくということ

私たちの基本食は、お米です。史実に由れば、3000年くらい前からお米を食べている民族なんですね、日本人は。そして、昔はお米と言えば玄米でした。今はその玄米を精米して、白米を食べていますよね?これ、皆さんは“かす”を食べていることになるわけですよ。玄米は芽が出るものです。芽が出ないのは、死んだものなんです。白米は、ここから芽が出ることはありません。だから、“かす”を食べている。
「生きたものを食べなきゃいけません」と言いましたけど、この玄米を食べていれば、滅多なことはありません。私たちは昔から、元気をつくるために生きたお米=玄米を摂っていたんですね。白米ではなくて玄米をいただく、あるいは雑穀米のように、豆が入ったものを召し上がっていただくと良いかもしれませんね。

美味しくいただくということ

命をどのように愛しんで、そして活性させれば、人生を華やかにさせられるのか?これは、皆さんの生き方、考え方、そして食べ方次第だと思います。人は、食べ物が口に入ったときに「ああ美味しいな」と感じたものだけを、小腸から栄養吸収できると言います。ですから、ご自分の感性、食べたときの素朴な気持ち、味、それらを大事にしていただきたいなと思うんです。豊かな実りに恵まれたこの北海道に存在すること、そして、四季折々に繊細な“旬”をいただけるこの日本に存在することに、大きな喜びを感じていただきたいと思います。
日本食のすばらしさを、あらためて教えていただいた気がします。星澤先生、ありがとうございました。
(第7回全国大会「道・市民公開講座」要約)
 

星澤幸子先生プロフィール

料理研究家。星澤クッキングスタジオ主宰。日本テレビ、広島テレビ等に出演し、札幌テレビ「どさんこワイド」での長期出演がギネス世界記録認定。2001年ホクレン夢大賞農業応援部門大賞受賞、2009年東久邇宮文化褒章受章。著書に「大地のレシピ」「しあわせのひとりごはん」など多数。
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